工場はよくコストセンターとして見られますが、実はプロフィットセンターとしての見方も存在していることを、ご存知の方もいらっしゃると思います。本文はなぜプロフィットセンターとして見ることができる根拠を説明した上、プロフィットセンターとしてうまく機能させるため、注意すべき点もご紹介します。
プロフィットセンターとコストセンターの定義:
プロフィットセンターとは、企業の中で利益を生み出す部門のことです。ほとんどの場合、営業とマーケティング部門がプロフィットセンターとして、売上を獲得し、そこから利益を作り出していると思われています。そのため、利益をいかに高めることが、プロフィットセンターのミッションとなります。
また、コストセンターとは、利益を生み出さない部門のことです。よくある例としては、総務部、人事部、経理部など売上と利益と直結していない部門です。従い、コストを削減することがこれの部門のミッションとされています。
工場はどちら:
それでは、製造業における工場(製造部門)は、どちらに該当されますでしょうか?
よくある誤解としては、工場は売上を直接作り出していなく、材料費や加工費などを費やしていますので、コストセンターとして見られますが、以上の定義によると、利益を生み出せるかどうかは、工場の所属を決める基準となります。それでは、下記の式をご確認頂きますと
利益=売上 – 費用
ここで分かったことは、費用(原価)は工場で発生していますので、すなわち、工場の生産活動は、利益(もしくは赤字)に影響を及ぼすことができます。そのため、プロフィットセンターとして見られることが可能です。
総務部との違い:
しかし、このような観点によると、総務部や人事部の費用も全社の利益を影響していますので、これらの部門もプロフィットセンターにすべきではないか、と疑問をお持ちの場合がございます。この疑問を答えるために、下記の図で説明したいと思います。
以上の図をご覧頂くと理解できると思いますが、工場と総務部などの明確的な違いは、売上原価はほとんど工場で発生され、管理費等間接費用はほとんど総務部などのコストセンターで発生されます。なぜ全体の費用をこのように分けるのかと疑問をお持ちかもしれませんが、各部門実際にどのように利益に影響を及ぼすことから考えると、売上原価と販管費/管理費を分ける重要性を理解できます。
具体的な例から説明しますと、総務部などのコストセンターは全社の月間や年間利益額に影響を及ぼすことができますが、一つ一つの製品や契約になりますと、実際にどの契約の利益を生み出しているのか、具体的にいくら生み出しているのかに関し、特定することが不可能です。その結果、たとえ総務部をプロフィットセンターとして指定しても、具体的になにの利益にどのぐらいを生み出すことがわからないため、その利益に影響及ぼすことができると言えないです。そのため、工場のように、「材料費」「労務費」「経費」から、利益への影響を具体的に特定できる部門をプロフィットセンターにするのは、適切だと言えます。
原価の重要性:
利益を積極的に創出できるように、工場をプロフィットセンターとして機能させることは、製造業企業の目指すべき姿だとよく言われます。そのように利益を実際に生み出せるように、ま「材料費」「労務費」「経費」などの製造原価を把握することが第一歩となります。また、営業など他のプロフィットセンターも、製造原価を理解した上、初めて利益を把握でき、利益を生み出すことができます。製造原価を工場内外に見える化することは、利益を創出できる工場にとって、不可欠の役割と言っても過言ではありません。