- 原価計算は経営管理者に利益管理のための重要な情報を提供するが、これが企業の組織と結びついて、改善に活かされなければ意味がない。そこで誕生したのが責任会計の考え方である。
- 企業が持つ責任センターの範囲の定めかたは企業によって様々であるが、会計の見地からすれば、原価(責任)センター、利益(責任)センター、投資(責任)センターの3つに分類することができる。
- 原価センターは原価にのみ責任をもち、利益センターは原価センターの責任に加えて収益に対しても責任を負い、投資センターは利益センターの責任に加えて投資活動の権限を持つ。
- 責任会計とは、「企業組織内における責任センターを識別し、各センターの業績を明らかにするために、各センターにたいし、それぞれが責任をもつ特定の原価、収益、投資額を割り当て、各センター別に、計画と実績、および差異にかんする財務情報を提供する会計システム」(『原価計算』岡本清、国元書房)である。
- 原価業績報告書では、管理可能費についての予算、実績、及び差異を示す。
- 第一線の現場管理者には、管理可能費のみに限定した報告書、より上級レベルの管理者には管理可能項目と管理不能項目とを区別した報告書が提出される。
- 企業は勘定科目分類表作成するが、この基本的な狙いは財務会計目的と管理会計目的の両方に役立つような情報システムを作ることにある。
- 管理可能費と管理不能費の区別は特定の責任センターの管理者によって管理可能か否かで決まるが、この可否が業績測定期間の長短によって異なること、1責任センターが全てを管理することは不可能であることなどを鑑みると、この区別は単純明快なものではなく、しばしばトラブルの原因になる。
- 2つ以上の責任センターにまたがって発生する原価を共通費と呼ぶが、この配布額はその責任センターの長にとって一般には管理不能であるから、責任会計上は、できる限り原価を個別費と捉えるのが望ましい。
- 経営活動の量に応じて、変化する原価の様子を、コスト・ビヘイビァーという。
- 経営活動の量に応じて原価を変動費、固定費、準変動費、準固定費の4つに分類することができ、それぞれでコスト・ビヘイビァーは類型できる。
参考
岡本清(2000) 原価計算 国元書房